『ふわふわ』
マリー姉じゃが好きな
クグロフ。
兄じゃも気になる
観月ちゃんのお好みは
ふふふ。
おはぎ。
じゃ!
やっぱり、ちびっこから大人まで
みんなが喜ぶ味。
青空も虹子も
霙姉じゃも立夏姉じゃも
蛍姉じゃもみんなが踊りだす
あずきのいいにおい。
ふんわりと、あたたかく広がる甘さ。
ヒカル姉じゃが手を引くと
兄じゃまで立ち上がって
うかれてしまう
深い味わい。
もっちり、もちもち
かみかみして
感じる確かな重み。
がんばってあずきをつぶした手間が詰まっている。
愛情の魔法も
すみずみまでみっしり。
お菓子作りの本を広げたら
これこれ
これじゃ!
そう、
これだな。
霙姉じゃと
短い指、細い指を突き合わせて示す写真。
だけど、今年の霙姉じゃは
あんこも
いいじゃないか!
の、いつもの勢いもどうしたものか
いいチョコレートのお店で
見つけた深い色。
ダークチョコレートに気持ちを込めると
ついに、星柄の貯金箱をたたいて
ああ──
じゃらじゃら踊りだすこぜに。
霙姉じゃが一生懸命ためたいちえんだまは
きっと、あの甘い甘いもちもちおはぎを思い浮かべて
うっとり貯めてきたのであろうに。
わらわにもよく
ぜんざいのお店を
いつか大人になったら。
約束してくれたのに。
きっと大事なものに使うと決めていたへそくりを
この時こそ、とためらいなく
思い人に祈りを届けようと決めて。
兄じゃは幸せ者じゃ!
あとは、
用意した霙姉じゃのあこがれ
ダークチョコレートが
本番当日になってなぜか量が減っていた
などという心配がないように
ちょっとこばらがすいたとき
チョコレートの高カロリーは非常食にも向いている、
ふと手元を見て思い出したりしないように。
霙姉じゃが、手ごろな鍵のかかる箱を探していたのはたぶんそうなのではないか。
と、いうわらわの想像じゃ。
だって見ているとおなかが鳴り出す。
マリー姉じゃのおすすめ。
わらわのおすすめ。
兄じゃのお勧めは
大人っぽいビターなのか
きらきらかがやく飾り付けのおはなし。
そして、春風姉じゃが選んだ
今日のおやつは
そうだ、みんなのまっすぐな思いみたいに
まっしろで
ふんわりやわらか、やさしくて
どこにでもあるようだけど
きっと気に入ってほしくて愛情を込めた
本当の一番はここにだけ。
家庭的な定番のショートケーキも
堂々と胸を張って
すましたおかおで、おぼうしのいちごを乗せて登場。
バレンタイン当日の
予定を立てた子、まだの子
いろいろでも
みんながそろって楽しいお茶の時間。
夕暮れを待つと
傾いたお日様を背負ってお帰りの
兄じゃにごほうこく。
今日のお菓子作りの練習、
進んだよ!
いいもの
用意して
たくさん予定して待ってる!
今週末まで
か、すい、もく、きん
もう四日。
途中のお休みは大事にしないと。
さえずることりたち。
それとも盛大な
季節はずれのせみのこえ?
寒さに負けない大騒ぎも
ひときわはなやか。
なんといっても、バレンタインが待っているのだから。
でも今日はいったんチョコレートをおいて休憩。
ふわふわスポンジ
しっとりいちご
こんなに、好きな人を幸せにできたらな。
英気をやしなう
のんびりやさしい
乙女たちのひとやすみじゃ。
兄じゃよ、わらわも今日は
エプロンもぴしっと身につけて
三角巾を巻いて身支度は完璧。
あとは当日の味が
こんなでなくって、もっと上手にできたら
世界一の愛情もせいいっぱい自慢の飾りをかけて用意済みで
準備万端なのに、うまくいかないものじゃ。
当日までにはもう少し準備が進んでいると信じて
あげられるよう楽しみにしているバレンタインの贈り物。
できるはず。
できるであろうか。
ちびっこでも胸の中に灯った
ふるえて揺れる乙女心を
その日は、いちばん見せたかった心からの笑顔で届けられるように。
兄じゃの好きなもの
わらわにこっそり教えてくれたら
もうすぐやって来る特別な日には
ちょっといいことがあるのかもしれないのじゃ!