綿雪

『レインボー』
むにゃむにゃ──
ずっとこんな風でいればいいのにと願うくらい、
今日も暖かくて過ごしやすい日。
やがてユキの願いは置いていって
優しい春の陽気は
強烈で激しい季節に変わっていくのだといいます。
それでも今日は──
体の弱い子でも、元気いっぱいの子であっても
とってもうれしい
ちょうどいいくらいの日。
ふわぁ──
気持ちが良くて
少し、うとうとしてしまうほど。
困ってしまいますね。
まるで、夜更かしをして
いつまでもあくびを止められない日のよう──
こんなに眠いのは
のどかな日差しのせいばかりではないと見抜かれたら
どうしよう?
たとえば──
読みかけの本をずっと開いていたとか、
明日の支度のつもりがついつい
最近出した春の服を眺めて盛り上がったり、
その日あった楽しいことをずっと思い出していたり──
お兄ちゃんがまた遊んでくれる時のことを想像したり、
そんなゆかいな話ばかりではなく
宿題の途中で気が散って
なかなか終わらなかったとか
お手伝いの途中で失敗したことを
布団に入ってもなかなか忘れられないでいるとか──
思い当たる節がたくさんあって
また明日もお昼になっても
眠そうにしていたら──
ああ、そんなふうにして
春の午後をうとうと過ごす理由は
きらきらしていっぱい、いくらでもあるのです。
一生懸命に遊んで力を使い切った
みんなみたいにできなくて
公園でブランコを揺らし
お部屋で小さい子を見ていたユキも
なんだか──今日は眠くなってきたみたい。
せめて、眠そうにしている子に毛布を掛けてあげてから
ユキもほんの少しだけ
目を閉じています。
そんなに元気じゃない子も夢を見るの。
起きたらまた──また遊びに行こうっと。