さくら

『かわいいおと』
ぐぐっ
ぐぐっ。
はるをむかえた
おうちのなかでは──
いつもいいおとがする。
あれははるかおねえちゃんが
おやつをつくるおと。
おにわであそぶ
さくらがすこし
おなかをすかせたころに
きこえてくるよ。
さくらがどこにいても
はるかおねえちゃんはやさしい。
あんなにいいおとは
ほかにはない!
きこえる、
いろんなおと。
ボールがとんで
はねて
ころがって
さくらのところまで
ぽよんっ
どどどっ

やってくるよ。
なげかえして!
さくらちゃん!
ってよぶこえもするよ。
ボールあそびはたのしい。
はるをむかえたら
お兄ちゃんもやってみて!
うきうき
にこにこ
よろこぶさくら。
きっといいおとがしているにちがいない。
むむっ?
しずかになったのは──
おひるねのじかんなの。
あんなにうるさかったこどもたちは
かぜがとおるおへやで
ゆめのなか。
でも、よくきいて!
すやすやいうねいきは──
これからげんきに
とびはねるまえに
きこえるこえ。
さくらもすこしねむるよ。
みんなもぐうぐう
すやすやいう。
お兄ちゃんもさくらのとなりでねようよ!
ちかづかないと──さくらがおきても
きこえなくて
わからないかもしれないでしょう?