綿雪

『クリスマスのよろこび』
どきどきしながらベッドに入ったゆうべくらいから
雨の音は激しくなったようで
うとうと眠りかけだったユキのすぐそばの窓も
雨の叩く音が鳴っていたような気がします。
なにか話し声か足音が近づいて
また離れていった記憶は
やっぱり夢だったのでしょうか。
それともサンタさんも
激しい雨のせいなのか
みんなと遊んで安心して眠っているユキを見て
てっきり起きないものだと思ったのかな?
実際は、どこまでが夢なのかわからないけれど
雨の音が聞こえて
優しくそっと近づく誰かの気配がしたことだけは──
きっと確かなの。
他のお姉ちゃんたちも、妹たちも
誰も足音なんて気がつかなかったと言っています。
それでもユキの枕元に吊るした靴下には
クリスマスのカード。
すぐ近くに大きな包みのプレゼントが届いていました。
今年一年を
ユキは良い子で過ごしていたみたいです!
よかった。
前の楽しかったクリスマスから一年が過ぎて
長い間、休みなく続いた一日一日を
ユキは悲しいこともうれしいことも知りながら
おうちのみんなに守られたり、一緒にいたりで
今日までやってきました。
悪いたくらみのいたずらもして
誰にも叶えられないぜいたくを言って
大きな声で泣いてはお兄ちゃんのところへ困らせに行った
いけない子のユキは
涙をためながら、いつでも──
お兄ちゃんがいてくれるこの家が好きで
氷柱お姉ちゃんもいてくれて
みんなの声がどこからでも聞こえてくる生活が
たとえ、もしも、何かのきっかけで
ユキにはどうしようもないことがおきて
今この瞬間になくなってしまうとしても
ずっと大事にして忘れなければいいと思って
一年の毎日を送ろうとしてきました。
泣いてしまうことがあって、
それだけのことで泣いてしまう自分が悔しかった日も
みんなといられたの。
優しくてにぎやかな人たちがいるよ。
小さなユキが知らないことを教えてくれる
とても大きなお兄ちゃんがいるの。
だから──
つらいことがひとつ、それともあといくつかあったとしても
この毎日のことを
一日も忘れないで
この一日を過ごしたことだけは悲しい思い出にしないで
いつまでも、この先いつも、楽しかったなって思い出せるようにしたいなと
だめなユキはそれくらいしかできないと思って
せめてそれだけを願って──
小さな体を動かしてきました!
今できること
それだけを続けられるように。
せめて、遠い未来に気がついたら
少しでも大きくなっていましたと。
そんな希望をつなげていけたらいいと
小さな夢を持つことにしました。
今日、だめなユキは
意外とあんまり怒られないで
こんなふうに幸せなプレゼントを届けてもらえたの。
忘れられない毎日のうちの
いちばんに忘れたくない
すてきな日を生きていることを
今、いっぱいの声で
お兄ちゃんに報告したいと思います!