綿雪

『おくすりのコツ』
にがいにがい
おくすり──
おとなの人でも
顔をしかめて
たたかって。
一生懸命
やっとのことで飲みきる
あのおくすり。
錠剤なら
まだいいけれど──
お注射だって
お医者様に行かなければ
そこまで気を付けなくても
いいものだけど。
でも、病院でもらって帰ってきた
一週間分の
粉のお薬だけは──
熱が出てしまったさくらちゃんは
小さいのに、
どうしてもがまんして飲まなくてはいけません。
かわいそうだけど
お病気を治して
みんなとまた元気に遊んでもらうためには
仕方がないの。
赤い顔で悲しそうに
おかゆを食べる
さくらちゃん──
にがいおくすりを飲むのは
慣れているユキだって大変なの。
いつものことだと思っていても
でもやっぱり
おくすりの時間が近づくと
うつむきがち──
でも、そんなとき
おくすりをよく飲めたね、
えらいね、
りっぱだねって
ほめてもらえることがあるの。
そうするとユキも
よかった、
ユキががんばったことで
こんなにみんなが喜ぶなら
またおくすりを飲んでもいいかなって気が
少しだけしてくる──
だから、さくらちゃんが
かっこよくおくすりをのめたら
ユキは自分がそうしてもらってうれしかったように
いっぱいほめてあげる。
さくらちゃんはえらい子だもの。
きっと上手におくすりを飲むと思います。
そうしたら──
ユキはすごくすごくうれしくなって
こんなにえらい子が妹にいてくれて
本当にうれしいって
言ってあげられそうなの。
そして、そのあと──
ユキはもしかしたら
うれしすぎて
お兄ちゃんの手を引っ張ってくるのかも!
見てくださいって言いたそうに──
さくらちゃんは、お兄ちゃんが大好きだから
お兄ちゃんにやさしい言葉をかけてもらったらいいなって
呼んでくるかもしれません。
そうしたらお兄ちゃんは
一緒にとっても喜んでくれると思うの──
なんとなくそんな気がするの!