小雨

『どっこいしょ』
よいしょ、
よいしょ、
ふう、
ふう、
はあはあ──
はあはあ、
──
今日もよく晴れた
暖かい日でした。
お庭で遊ぶみんなの明るい声。
よく花壇の世話を手伝ってくれる
元気な子たち──
小雨の作業も少し進んだ気がします。
おうちでは、みんながそれぞれ
得意なことがあって、
小雨のできることは──
たぶん、得意なことではなくて
たまたま他の子より
時間をかけて作業をしているだけなので──
うまくいく自信はないし、
効率も良くないし、
さくらちゃんががんばって
大きくなりたいと思ってくれても──
お姉さんの小雨くらいになったところで
重たい水はいっぺんに運べず、
よくこぼすので、
そそっかしくて頼りなくて
あまりいいところは見せられないし。
ここに種をまいた
全ての花を上手に咲かせることは
小雨にはできません。
お花を育てる作業のひとつひとつも──
肥料を混ぜておいて
土を掘り、
種をまいて
なるべく様子を見て細かいことに気付いてあげられる──
小雨の得意なことだと
胸を張って言える工程は
何一つなくて
失敗をしてばっかり。
みんなに手伝ってもらっているのに
情けないですね。
でも、それでも
今日もやっぱり
日差しが明るくて助かるから──
地道に、
ゆっくり、
自分のできる以上のことはできないまま、
いつ終わるのかわからないのに
ひとつひとつ
いっぱい助けてもらいながら──続けられました。
長い時間がかかったけれど、水も運びました。
こうして手をかけると
花壇が花でいっぱいになるんです。
今はまだ小さい種なのに、すごい生命力ですよね──
小雨の作業なんてひとつも全然上手じゃないのに、すごいの。
きっと、全ての花がきれいに咲くお手伝いは
まだ何にもできないけれど──
今年の春の小雨ができることです。
明日ももう少し続きをしたいな。
小雨にできるかな。
明日も、暖かい日になりそうなんだって。
小雨はまた──へとへとになると思います。