小雨

『両手いっぱい』
ふう、ふう──
いつも小雨は不器用で
誰かの手を借りなかったら
上手にできないことが
たくさんあって──
それでも、
みんなに迷惑をかけてばかりではいけない!
と思うとき、
またはただ単に
まわりが忙しくて
小雨がなかなか声をかけられないときなど──
そう、必ず
何かを一人でやるべき瞬間は
やって来るのです。
大丈夫!
小雨はもう
六年生になったお姉ちゃん。
そんなにすぐに
泣いたりしないで
いられるかもしれないし──
がんばれると思うの。
今日のおしごと。
お庭の草刈りを手伝ったあと、
残った草を
抱えて運んだり、
あとは花壇の肥料の袋も
大きいものではなくても
ひとつずつ──
運ぶことだってできる。
思えば、おつかいの買い物や
お皿の後片付けや──
小雨はいつも
なんでもかんでも両手を使って
汗をかきながら運ぶものです。
それは
あんまり力が
ないものだから──
それでも、できるだけのことは
したいって思うから。
今日は、ふらふらしたり
つまづいたりしている
小雨を見かねて
助けに来てくれた──
年少さんから
三年生までの
手が空いた仲間たち!
みんなとっても明るくて楽しい子たち。
一人で何でもは
やっぱりまた、今日もできなかったけれど
抱えて運ぶのは
いっぱいがんばった子たちの
汗をかいた後の洗濯物。
小雨がついに一日を乗り越えたあかし──
とても立派な力に支えられていると
教えてくれる宝物。
力がない小雨だけど
毎日何とか続けているから
こんなにすごいものを抱えて運べるようになりました。
うれしい──
今はどうにか洗濯くらいならできるだけ。
もっとしっかりして
みんなの役に立てるようになる日が来るって
そう思える時間を
増やしていきたいと──
あっ
あっ
つまさきが
勢いよくぶつかった、
いつも気を付けている
つまづきそうな
段差が、
ああっ!
……
セーフ!
です。