ヒカル

『まだ知らない』
子供の時に夢見ていた理想は、
思っていたよりずっと遠く──
はるかに手が届かないもので、
叶う気がしないもので──
今日も小さな妹たちとたくさん遊んだ。
ボールを奪われないくらいは簡単なのに、
それでも熱くなって
ときどきは──本気を出して
夢中になって庭を駆けまわる。
汗だくになってのどが渇いて、
少し休憩したらまた庭へ飛び出して──
背が伸びたくらいでは
行動は子供の頃と何も変わらない。
あちらこちらの運動部に助っ人として参加して
経験を積み重ねた程度で、
少しも成長なんてしない──
疲れたら日なたでうとうとして、
すっかり体が冷えるまで起きないんだ。
暖かくなったのが
自分で思っているよりも
ずっとうれしいみたいで──
毎日そんな調子。
まったく何をしているんだろう?
もっとしっかりしないといけないのでは?
そんなふうに反省して──くすくす笑う。
本当にどうなっているんだろうな?
子供から見たら
高校生なんて、できないことは何もない大人で
いつか自分たちが成長していく目標の
はずだったのに。
でも──今日もよく遊んだな。
もしも私が
理想の高校生になる道のりを
ちゃんと知っていて、
そして少し時間を巻き戻して
やり直して──
夢に見たようななんでもできる大人になれるとしたら。
その時に、やり直すことを選ぶだろうか。
それとも──こんなに情けなくて反省ばかりの一日を
大事に思って、
このままでいいと──受け入れるのだろうか。
いつか、賢い吹雪か氷柱たちが
そんなもしもの話を実現するかもしれないな。
私は──そんな変な空想ばっかりして
いつまでも薄着で寝転がるような日を
今日も過ごしている。
子供の頃に考えていたのと──全然違うじゃないかって
失敗だらけの日々を、夢中でまた今日も。
しまったな──まったく毎日困ってばっかりだ!