綿雪

『ワンスモア』
冬の夜は
暗く──
だけど、なぜか
どんな時よりも明るく
星は瞬いて
暖かく
私たちを見守るよう。
自信がなくても
寂しくても、
みんなが教えてくれたように
今夜もまた、
とっても寒い夜の中を。
今日から学校が始まります。
冬休みが長くて
とても楽しくていろんなことがあったから、
久しぶりのような気がする
いつもの通学路も
少し緊張するみたい。
冷たい雨、
厚くたれこめる黒い雲──
でも、いっぱい遊んで
大きくなった子供たちなら
決して進めないことはない道だもの。
ユキも今日はお熱も出ずに
友達と会うことができました。
あの──小雨お姉ちゃんは残念でしたね。
あんなにはりきって
お姉ちゃんらしく
みんなの先頭を進んでいくんだって
ユキたちと行く久しぶりの朝と
学校を楽しみにしていたのに、
こんな日に風邪をひいてしまうなんて大変でした。
ユキが帰ってきた時には、
すっかり元気になって
学校の話を聞かせてほしいって言ってたの。
よかった。
ユキ──うまく話せるかわからないけれど、
小雨お姉ちゃんに聞いてほしいことが
たくさんあるんです。
クリスマスプレゼントの手袋や、
編み方を教えてもらったマフラーや、
帰ってきて飲むのを楽しみにしていたホットレモン。
むかし、クリスマスの夜に
小さな馬小屋の上に
道標の星が輝いたといいます。
きっとその時も──
暗くて寂しい夜に
光っていたのでしょうね。
今はもうその星は見えないと思うけれど、
ユキは知っている。
まるでお兄ちゃんや
お姉ちゃんたちが、
小さな子供たちのために輝かせてくれたみたいに
今夜も、これから先も
私たちは教えてもらった
その明かりを知って
頼りにしているのだろう。
お兄ちゃん、小雨お姉ちゃん──ユキのおうちの家族のみんな。
お友達のおうちのクリスマスやお正月も
いろんなことがあったんだって。
おもしろいことも──なんだか大騒動になることも
おいしいもののお話も、寒い時に暖めてもらった出来事も。
おうちもそうだったねって、お話したいの。
ユキは今日も、これからもきっと──
話したいことがたくさんあるよ。
聞いてくれる?