『ラブラブドリンクタイム』
コーヒー!
いわずとしれた
魅惑の飲み物。
美しく上品な色合いで
宝石のように黒色を映えさせ、
湯気とともに立ち上る
なんともいえない高貴な香り──
お気に入りのカップに唇を付け
ひとくち含んだだけで
おくちの中から体中に広がる
芳醇な酸味と苦みのコントラスト。
それはとても
すばらしいもの──
だと聞いたことがあるわ!
海晴お姉ちゃまの椅子のそばまで近づいて
一口おねだりをして──
ああ!
今日もマリーには
まだ早すぎた──
あの苦味。
どうして?
いったいどれだけ大きくなれば
優雅なしぐさで
コーヒーをいただけるというのだろう!?
山登りにも似た
遠い道のり──
ティータイムをお姉ちゃまたちや
フェルゼンと楽しむという夢。
なんと今日は
少し肌寒い日だったから
人気のコーヒーが──
興味をもって
飲んでみた麗お姉ちゃままでも!
ついに苦さを克服し
飲めるようになったのを
マリーは見ていたの。
どんどん置いて行かれるような気持ち──
いえ、これは前向きに考えるべきよ。
家族がまたコーヒーを飲めるようになるのだから
マリーだってちゃんとコーヒーを飲める血は
脈々と伝えられているはずだわ!
おそらく!
そういうことになっている──
はっきり言い切れる自信はまだないけれど。
砂糖とミルク入りも
まだ飲めないマリー。
その気になれば
誰にも見えないところで
もりもりはしたないほどの砂糖を入れて
飲んでみることは
できるかもしれないけれど!
いつでも人の上に立つ生まれのマリーは
正々堂々、
そんなにたくさんの砂糖なしでも飲めるようになるの。
たぶん、そのうちね。
フェルゼンも、もしも砂糖とミルクが多めのほうが好みの
気分になった時は
マリーに一口試させてくれる?
日々の努力がやがて大きく実を結ぶと
マリーに流れる女王の血が告げている──なんだか、そんな気がするの。