立夏

『旅人』
みて!
あの勇敢な背中は
無謀と知りながら
果てしのない挑戦に挑む──
我らが愛しい家族の姿。
凛々しく前だけを見つめる
みんなのかわいいマリーちゃんに
してあげられることは──
もう応援と
そしてひそかに祈るだけ。
立夏でも
わかっている。
どんなに力を貸したくても
何もできない
そんな時だって
あるというのを。
立夏は知っている。
まだ小さくて
苦いコーヒーはおいしくないと
誰からも言われようとも
自分だけを信じて
進まなければいけない時があることを──
あと、できることは
泣いて帰ってきた時に
抱きしめてあげるくらいだネ!
よくがんばったって
なでなでしてあげなくちゃ、
あんなに立派な決意に
割に合わないもの!
実はまだ立夏だって
苦手で飲めないコーヒーというやつ──
あのくせもの!
今この時期に
マリーちゃんが急いでいるのはもしかすると
これから寒くなって
コーヒーで温まるお姉ちゃんたちや
オニーチャンのそばに
もっといたいからなのかも──
それはリッカの気持ちなので
勝手にそうなのではって思っているだけかも。
はっ!
もしかして麗ちゃんも
さみしがるあまり!?
それはないか。
最近はだいぶ
肌寒い日も続いて
みんなはいろんなことを考えるみたい。
立夏は、吹雪ちゃんから聞いたことがあるの。
世の中には二種類の人間がいて、
暑い時でも妙に元気でテンションが上がる子と、
暑さはもう全然ダメな子がいるということ!
夏が苦手だった子も
ようやくわくわく
うきうきと
弾む気持ちが止まらない時間が
そろそろやってくるのかも!
まずは──
マリーちゃん、がんばれー!
応援してるからね。