立夏

『まったり立夏
りっか
……
うわーん、オニーチャン
聞いて聞いて♪
お天気が変わりやすいこのごろ、
すっきり晴れて
風もなく、
何をするにもすばらしい
こんな貴重な日に、
せっかくの日なのに──
リッカは何をしようか
考えているうちに
あたたかいソファでうとうと──
気が付いたら
陽は落ちて影も傾く夕暮れ。
なんて
もったいなーい!
こんなことなら
晩ごはんの準備に誘われたときに
心を決めておいたら──
将来にも役立つ技術が身について
もしかしたら好きなもののリクエストも聞いてもらえたかもしれない
充実した一日になっていたかもしれないのに!
あるいは、思い切って
ちっちゃい妹たちと転がるように庭を駆け回る──
重いまぶたと闘いながらやがてベッドに倒れる
遊んで遊んで何も悔いのない
やり切った日だったかもしれないのにな!
あ、でも待てよ。
忙しく毎日を重ねて
無駄に過ごす時間をもったいなく感じる
今どきの日本人。
そんな時代に──
何もしないでただ眠れたら
こんなにぜいたくな過ごし方は
なかなかどこにもないんじゃない!
よし、そういうことにしよう。
決めた!
すばらしい日を過ごした立夏は──
これで気持ちよく満足して眠れそう。
……?
昼寝をしたのに
これからの夜の本番、
本当に眠れるというの!?
どどど、どうしようオニーチャン。
やっぱり少し夜更かしに付き合ってくれる
立夏だけのたったひとりの
やさしいオニーチャンが
どこか──近くにいたりしたら
本当に最高の一日になるんだけどな、
なーんて。
どう!?
妹の願いを叶える
心当たりは──
あったりしない?