『立夏がおこられる季節』
リッカだヨ。
ちょっとうれしいことがあったら
ぴょんぴょんとびはねて
喜ぶ子は──
暖かい季節がやってきただけで
汗びっしょりになるほど
駆け回る。
だってお天気がすばらしいと
何かいいことが
必ず起こるって
もう知っているんだもの。
汗をかくと
ほかほかになって──
リッカはいつも身軽になりたくて
まとうものは少なく!
薄着でも平気になる。
それを鋭く
お姉ちゃんたちは見つけて
駆けよってくる──
くすん。
あんまり文明的な人間は
春が来ただけで服を脱ぎ捨てたり
しないんだって!
もしかしたらリッカは
文明のもとで育ったのではなく
ジャングルにいたのを拾われたのかもしれない。
この家の子ではないのかもしれない!
そしていろいろあり
本当の家族になるために
オニーチャンと結婚できるかもしれない♪
でも、しょうがないの。
誰だって楽しいときは
いろんな形で表現するんだから
リッカの場合はたまたま汗っかきでぽかぽかになるというだけ!
そういう子がいても
いいじゃない?
どう思う。
オニーチャンはやっぱり──おしとやかですぐ薄着にならない子が好き?
それともリッカくらいでも大丈夫?
はしたない格好を見逃せないおねーちゃんたちと
どっちの味方をしてくれるの!?
優しいオニーチャンは
みんなが大切な家族だと
言ってくれるかもしれないけど──
すぐ薄着になりがちな文明社会を知らない子でも
ときどきは好きな人が
自分ひとりだけの味方で
いてほしいときも──
ある!
なんて言ってくれるか知りたくて
じっとしていられず
女の子は
いつでもどんなときもとびはねる。
おねがい!
どうか今すぐ
本当の気持ちを聞かせて!