立夏

『ハッピー』
この世界には
男の子と女の子がいて
一緒にいたり恋をしたり
ずっと隣にいたり──
とてもいいことばっかりだという。
この世界には
お菓子というおいしいものがあって
食べるだけで幸せで
中でも、チョコレートなんて
食べたりしたら
そのうれしさがいつまでも消えないという──
はっ!?
待てよ!?
ということは
男の子と女の子が
とっても素敵な日を過ごすバレンタインデーに
チョコレートがあるのは
自然な流れ──
もうはるか昔から決まっていたと言っても
過言ではないくらいに
そうなるのが当たり前なのではないだろうか!?
リッカとオニーチャンが
やがてもうすぐ
二人っきりの時間を何とかして見つけては
チョコを分け合って食べるであろうことも
こうして考えてみると
ずいぶん前に予想できたこと──
もうとっくにわかっていたことなのだ!
そうだったのかー。
このごろ、お菓子の材料を量ったり
豊富な食材のどれがどれだけあるか
おぼえておいたりするうちに──
ついに立夏の脳にも電気が通り始め
なんだか賢くなり
因果関係──
方程式──
物事を見通す鋭さが
育ちはじめたと思われる。
これからどんどん
オニーチャンのそばにいて
好きになってもらえるように──
頭がよくなっていくに違いないの!
そういえば最近は寒い日が多くて
そんな時は栄養があって手軽に補給できる
チョコレートが食べたくなるという
論理的な話もあるそうだヨ──
なるほどなるほど。
うん? でもなぜか
なぜだろう、
このごろバレンタインの試作に使うチョコレートが
あまり足りない謎が
増えてしまったんだよね──
いつかはリッカもその謎が解けるのだろうか?
おこづかいは足りるのだろうか?
どんなに頭が良くっても
恋が関わると、とたんに複雑になる気がするものだ。
おいしいチョコは作れるのだろうか?
喜んでもらえるだろうか──
頭を使うとチョコを食べたくなるっていう
女の子たちの間での研究結果もあるというよ!