立夏

『ワンダー!』
わわっ!
久しぶりの雨で
外には出られないな──
たいくつな時は
リッカの大好きなオニーチャンに
おうちで遊んでもらわなきゃ!
と思って探していたのに
オニーチャンはうちじゅうで
ひっぱりだこ。
そんなにずっと
みんなのオニーチャンをひとりじめして
遊んでいると──
怒られてしまうけれど、
なにしろ世の中、一筋縄ではいかない
いろんな用事があって
本を貸してもらったり、
宿題を見てもらったり、
電灯を変えてもらったり
部屋掃除を一緒に
したりすると
なかなか他の子の
ところへ行けないみたい!
なるほど──
腕をつかんでひっぱって
離さないだけではなくて、
そういうふうに
一緒にいるのもありなのか──
でも、立夏が同じことをしたって
たぶん、
本は読まないし
宿題を見たら手に手を取って一緒に逃げるし、
電灯はリッカも変えられるって見てもらいたいし、
部屋掃除は──
リッカの部屋にあるものを
片付けのあいだだけ置かせてほしいって頼んで
そのまま置きっぱなしだし──
うえーん!
どうも一緒にいる理由をうまく作るのは
苦手だな──
ねえ、オニーチャン!
リッカがオニーチャンと一緒にいられるよう
何か考えて
教えてもらいたいな!
それまでは腕を引っ張るほかには
あまりいいことを思いつかない子が
しつこく甘えてしまう──
雨の日は
おうちのどこにいても
あとをついていく妹になってしまうよ。
困ったね!