さくら

『みんなでたべよう』
みんながすきなあまいたべものを
さくらは、しっている。
あまい──
しろい──
そして、よくのびる──
みんなでよくかんで
おしょうがつきぶん。
たのしい、おいしい
すばらしいおもち。
お兄ちゃんは、
おぞうにとおしるこ
どっちがすきなの?
おもちに
なにつけてたべる?
う、う、
うえーん!
さくら、みんなと
おもちをたべて
みんなとおもちのおはなしをして
だいすきだったのに──
あんなに、もちごめをふかして
みんなでおもちつきをしたのに──
もう、おしょうがつはだいぶまえ。
おもちもなくなった。
どうして?
いつでもおもちをたべていいのにな──
よくかんで、ずっといっしょにいてたべていいのにな。
このままでは
いろんなことがとおりすぎて
すぐおわってしまう──
さくらのすきなこと、
おわってしまうの?
はかなくて
ちりのよう──
そうしたら、みぞれおねえちゃんが
そういうのはさくらにはまだはやいって、
しまっておいたおもちを
みんなのおしるこにってだしてくれたの。
わーい!
やっぱり、いつでもおしょうがつでなくても
おもちはおいしいんだってば!
そして、さくらはそのときに、おはなしをきいた。
これからは──
みんながおもちにすこしあきたころには、
なんとチョコレートをたべたいこがふえるんだって!
お兄ちゃんも、もしかしたらだって!
そっかー!
さくらもなんとなく
そんなかんじはしていたの。
なんだかこのごろ
チョコのあまいにおいがするんだもの。
どこから?
こまどから?
キッチンから?
お兄ちゃんから?
だれかのおへやから──?
くんくん──
さくらはおもちのにおいがするのかな?
あさもよるもあまえんぼうで
お兄ちゃんからはなれない
いっしょにおやつをたべるくいしんぼいもうと。
もうすぐ、お兄ちゃんとふたりで
チョコレートのにおいになるかもしれないね。