真璃

『さみしがり』
ああ、私の愛しいフェルゼン。
大好きなフェルゼン。
あなたがこれを読んでいるということは
マリーはもう
捕らわれの籠の小鳥なのね。
もっと一緒に遊びたかった、
夕暮れにみんなが揃うのが少し早い季節。
あんなに楽しかったおままごとも
トランプの七並べもジェンガ
フェルゼンが手加減してくれているのがバレバレだった腕相撲も
ついに奪われ……
あとはお風呂にみんなで入るときと
体を乾かしてお布団に行くまでの間くらいしか
お話ができないなんて!
ごめんね、フェルゼン。
あなたは今日もマリーを思っているでしょうね、
その目に浮かぶマリーの姿は
やっぱりいつもの笑顔かしら、
一生懸命にボウルをかき混ぜ
ゆでたじゃがいもをつぶし、
時には甘いおやつを試食して
キッチンを忙しく駆け回り、
汗を流すマリーの今日の様子、
労働の喜びにきらめく姿が
フェルゼンの胸にも届いていると嬉しいわ。
というかぁ、
お手伝いをするのはいいんだけど
じゃんけんで順番を決めた
あの約束が無意味になってない!?
いくら春風お姉ちゃまと蛍お姉ちゃまがかわいくやさしい笑顔だからって
なんでもしていいというわけにはならないと思うの!
マリー、はじめてわかってしまったわ。
革命を望む民衆の気持ちが……
救いを求める希望の行方が!
それはマリーたちにできる
未来をつかむためのたったひとつの道のり。
いつもマリーはフェルゼンに会えないと
さみしくて泣いているんですもの。
甘いお菓子もいいけれど
乙女はどうしても
ちょっとお手伝いを抜けてどこかへ行ってしまい
涙をこぼす時もあるの。
うえーん!