真璃

『雨のリズム』
久しぶりの雨ね。
こんな日はおうちの中で
おいしいおかし、
暖かい飲み物、
楽しいおしゃべり。
あんまりいつもみたいに
うれしくなった時の踊りは
できないけれど──
優雅な時間を過ごす方法なら
数えきれないわ!
雨に濡れた緑を
窓から眺め──
お庭を潤す音も知らせてくれる。
明日は花壇もみずみずしい景色を
見せてくれるはずよ。
それにこんな日でないと、
忙しいお姉ちゃまたちを引きとめて
一緒におかしを作ってもらったり、
なかなかできないもの。
ゆかいな雨の日は
まだまだ
これからよっ!
ほら、耳を傾けて。
水たまりに休みなく波紋を広げる雨音。
キッチンからいい匂いを運ぶ
オーブンが動いている音──
できあがりが待ちきれないわ。
あちらでは、今日も調子に乗って散らかしている子が
追いかけられているし──
どこかの軒下からは雨宿りする猫の鳴き声。
こんな日常も
きっと欠かせないもので──
って、猫の鳴き声?
こんな雨の日に大丈夫なのかしら?
ちょっと──
そわそわ──
気になってくるわね?
少しだけ様子を見に行ってみようかしら……
濡れないように
がんばって歩く
穏やかな日に突然現れた
これは──
刺激に満ちた冒険?
それとも子供の身には許されぬ
いけない禁断への手出し──
猫がくるまるタオルをどっさり持って
それを
確かめに行く必要があるのかもしれないわね?