小雨

『雨の日』
小雨です。
と言ったら
お天気のことなのか、お兄ちゃんの妹の小雨のことなのか
わからなくてお兄ちゃんは困ってしまうでしょうか──
今日は、お兄ちゃんの妹の小さい小雨の話です。
鈍色の厚い雲が私たちの頭の上を覆って
お外へ出ることができません。
こんな日は──
小雨は自分のお部屋にいて
片付けとお掃除をして過ごします。
長い冬の間に
すっかり忘れかけていたことだけど、
雨の日に、ぽつぽつ聞こえる穏やかな音の中で
こつこつと作業をするのは、
あまりほかのことに気を取られず
集中できてとてもはかどるということ──
冬は暖房をつけても凍えて
お天気の悪い日はあったかくするだけでせいいっぱいでしたね。
もう、そんなに大変な思いをすることも
あまりなく──
麗ちゃんや立夏ちゃんがあわただしく出て行ったり
ときどきゆっくりしたりする
私たちの部屋で、
ひとつひとつ──
今できることを片付けながら、
いつ終わるのかはまだわからない先の長いお仕事で
これからの季節の準備をするのです。
心配性だから
急に寒くなるのが怖くて、
冬服はまだそんなにたくさんはしまえないけれど
雨が降ってほかにすることがそんなにないなら
とっておいたほうがいいものかそうでもないか、
ゆっくり考える時間は
たくさんあるんだもの──
どんくさくても
不器用でも、
こんな日ばかりはお片づけは進んでいくのです。
お天気の小雨の話にもなりましたね──
麗ちゃんと立夏ちゃんは、たまに晴れ間がのぞいた時に外に出かけたのか
濡れて帰ってきて急いで着替えることもありました。
小雨がお部屋にいると、服を片付けたりしてお手伝いができるからいいですね。
自分のことも、大切な人たちの手助けも
小雨でもいろいろなことができたのは
静かな雨のおかげ。
このまま、夜が来てもあまり寒くならないといいけど──
そんなに小雨の都合に合わせてくれることばっかりじゃなさそう。
冬服は──しまったところからちゃんと出てきてくれるかな。
うっかり奥に押し込んでいたり、しまった場所を間違えているのが小雨のよくあるミス──
もう一度確認してこよう──