氷柱

『帰還』
べつに!
大したことも
何もしてなくて、
ちょうどいいダンボール箱に穴をあけて
ちびっこたちの使い古したぼろぼろの服を敷いただけ。
一番苦労したのは──
猫がダンボールに入ったからと聞いて
見に行きたがる、
元気な子たちを
止めようとすること!
野生の猫が
わいわいうるさい足音が近づいてきて
逃げないはずはないし、
だいたいこの雨の中を
濡れてまで見に行ってしまったら
猫が心配でそわそわする子たちが
外に行かないようにした工夫も
水の泡でしょ!
ずぶ濡れになりそうな雨だけに
水の泡……
それにしても、箱に入れるために
みんなから募った
もう着れないぼろぼろの布切れの
あまりの無残な姿と言ったら、
どこまで大暴れしたらこうなるのかしら。
おうちの子供たちのわんぱくには
驚かされるばかり。
ま、今後もさんざんわんぱく
してもらうためには
寒い日のお庭は我慢してもらうの。
あったかく過ごすのも
約束してもらわないとね!
でないと猫が元気なのに
人間のほうが情けなくも風邪ひいてねんねだなんて。
かしこく猫を守る氷柱の妹として
見逃せない!
まあ、猫の小屋はもののついでだから大したことないけど。
さくらにあんなに感謝されても
困るけど……
そういえば下僕の感想はまだ聞いていなかったかしら?
ま、いいけどね。
明日はまた猫を探す約束をしてしまったけれど、
雨の降る日はどこにも行かず家族と一緒に
いてもらえたら──
手がかからなくて助かるわ!
それだけ!