ヒカル

『オニ・マーク』
雨が降ったり
ときどき晴れたり──
こんな日でも
子供たちは、外で遊びたくて
いつも窓のそばにいる。
体を動かすのが大好きで
なかなかじっとしていられない子も──
たまに散歩に出るくらいの子も、
雲を眺めて
もうすぐ晴れるのを知っているみたいに
目をそらさずに、じっと。
私が子供の頃もあんなふうだったって
よく言われるけど、
全然覚えてないな。
雨の後で足場も悪いし
汚したら怒られるのは知っているのに
それでも駆け出していこうとして
いつもうずうずしてる。
もう、そんなふうじゃないのは
大きくなったんだから当然だとも思うし、
でも、やっぱり──
いつもの猫が
雨に濡れて通ったとか、
動いているのが見えたとか言って
外に出たがるのは
風が吹いたのを見間違えたのかもしれないけど、
それでも、外の風の動きよりも
家の中にいる子たちのほうが激しくて
どきどきしたり
気持ちが揺れながら外を見ているのが
よくわかるのは
やっぱり私も同じだったからなのかもしれない。
今も──大人になったふりをして
そんなに変わらず、
あの子たちみたいに
雲を眺めたり
うずうずしているのが人から見たらすぐわかったり
してしまうのかもしれない。
だったら、スポーツマンとしては大変な弱点だな!
子供を相手にするみたいに
何もかもすぐに見抜かれてしまうんだ。
もう少し、しっかり鍛えたら──そんなこともなくなるのかな?
こんな日も晴れたら外で──
どう思う?
オマエから見て
だいぶ、気持ちが一目でわかったりはしていないか?
気が付いたら子供たちと並んで雲を見上げているのを
自分でも気が付いていないなんて
そんなことがあったら困るな!