『雨!』
雨ね!
雨かあ──
ううん、わかってるわ。
言わないで。
マリーも知っているの──
雨の日に、お部屋で二人
窓の外を眺めたり
時にはお互いを見つめあうだけで
世界は二人だけになったりする──
それもいいけれど。
でも、せっかくの
連休明け。
きょうだいがいっぱいいる子は
とにかく走って
体をきたえて、
足が速くなったのを
お友達のみんなにも見てほしい!
という気持ちは
やっぱりあるのよ──
さわやかに駆けて行く
汗を流し
ちょっとくらいではへこたれない
いつも全速力。
そんな子が
ここにもいるというのに!
雨ではなかなか
そんなにいいことを教えてあげられないわ──
マリー、ぜったいみんなを追い抜いて
走れると思うのにな。
でもまあ、世界のどこの王様だって
お天気を思いのままにするのは
なかなか大変そうだものね──
わかった!
マリー、お部屋の中でできることをする!
となると──
お休みの間、一緒に遊んでくれた
春風お姉ちゃまとユキちゃんのお手玉や、
かわいいお歌なんかがいいのかもしれないわね。
春風お姉ちゃまのお歌は
ときどき、大人っぽくて
マリーにはまだわからないときもあるけれど──
でも、春風お姉ちゃまが
マリーたちのお歌を覚えようとしてくれたの。
マリーも──覚えるわ!
難しくてもがんばるわ!
英語でも──
昔の言葉でも──
きっとちょちょいのちょいだわ。
マリー、このおうちの子供なんですもの。
おまけに良い子で
お手伝いもして、
よくほめられるもの。
連休明けのマリーはいつもと一味違う──
誰より一番
愛らしく変わったわ。
風も鳥も、
やがて厚い雲から顔を出すお日様も──
それを知るのは間もなくね。
お休みの間に輝きを増して、
世界はマリーを迎えてまた華麗に変わっていくのね──きっとそうね!