『ムーンハイド』
昨日はおうちで
雨がやまないお外の景色を眺めてさみしそうにしていた
子供たちやヒカルちゃんはついに──
よく晴れたのを見つけた朝、
何をするよりも
先に駆け出して、
とてもいい日になりそうだって
私たちにも教えてくれます。
そうしたらもう、
お外に出ていかないなんて
考えられないで
みんなを誘って遊ぼうとするの。
きっと、今すぐ
あのわくわくする景色に
迷わず飛び込んでいかなくては、
一番楽しいことを
逃してしまうに違いないと──
そんな確信があるのだと思います。
お兄ちゃんも、なんとなく覚えてない?
いま、大好きな友達や
いつも仲良しのきょうだいが
遊んでいるところに入れてもらわなければ、
もしかするともうすぐ
みんなも帰ってしまって
楽しい時間が終わってしまうかもわからない──
よく晴れた日の景色の、
いてもたってもいられない
あの気持ち。
そんなこと言ったって
また次の日も遊べるし、
そんなに焦る必要なんて何もないのは
本当はわかっているんだけど。
もっと落ち着いて
ちゃんとまわりの様子を見ながら行動したら
今までにできなかったことや、新しい遊びが思いついたり
いろんなことがはじまるのは知っているんだけど。
でも──
この場をのがしたら
一生で一番楽しいことが
するっと漏れていってそれっきりになってしまう、
そんなことがないと
誰が言いきれるでしょうか?
ましてや、楽しいことばっかりの子供の頃なら
なおさらです。
そう考えたら、あんなふうに無邪気にしている子のところへ
混ぜてもらわないと
なんだかいけないような気がしてきても
不思議じゃないと思いませんか。
本当は、雨音に耳を傾ける静かな窓辺や
白い月明かりのまぶしさにおどろく夜にしか見つからないことが
たくさんあるんだって
誰でも知っている。
でも、私は今
あの子たちのそばに行きたいんです。
よく晴れたのなら仕方がない──
そうでしょう?
そして、ゆっくり本を読んでお勉強したり、時間をかけてお料理をする楽しみも、
ちゃんと後で取っておいてあるいい時間だと
子供たちには内緒にしながら、
世界中の全部の楽しいことを残らず手にしようと──
あの、うれしい笑顔の秘密を分けてもらいに向かうというわけです。