さくら

『はばたき』
ゆうがたから
あめのふるよほうの日。
きょう、さくらは
はやめにおうちにもどって──
おるすばんをして
お兄ちゃんたちがおかいものをしてかえるのを
よい子でまっているの。
まだ──
かえってこないよ。
さくらが
しんぱいで
こころぼそくて
泣きそうなときは、
いつもかならず
すぐお兄ちゃんのところに
いくのに──
お兄ちゃんはまだかえってこない。
おかいものが
あるから。
さくらのすきなもの、
おでかけしたみんなが
りょうていっぱいかかえて
かえるって
いってたの。
よい子でまっててねって。
でも、お兄ちゃんたちの
おかえりがおそいと──
あめがふってしまう。
あめがふってしまうと
ぬれてしまう。
ぬれてしまうと
みんなみんな、
かなしくなって
泣きたくなるから
なみだをこぼすの。
お兄ちゃんが
そんなかなしいきもちになっていたら
さくらは──
そうぞうしたら
泣いてしまうよ。
おるすばんをして
そわそわばっかりしながらまつ子たちは
みんなみんな、
かさをもっておむかえにいきたくて
そわそわ、そわそわばっかりしているの。
でも、かってにおでかけするのは
いけないからね。
さくらがいますぐ
はやくはしって、
ううん、もっと、もっとはやく
そらをとんで
かさをとどけられたならいいのにね。
でも
はやくもないし
そらもとべないし
泣いちゃったし──
だから、はやくかえってこないかな!
あめの日のこどもは
おうちにいて
よい子でまっています──