さくら

『あめはもう』
あめがふる!
だけど──
まよなかに
さくらのめをさまし
わんわんなかせていた
はげしいあめは
もうにどと──
ふらないの。
あついあついなつが
いってしまったあと、
にゅうどうぐもも
せのたかいひまわりも
つよいあめも──
あのなつが
まとめて
つれていってしまったよ。
これからさき、
すべてのあめは
もうこわくないの。
まどにぽつぽつ、
みずたまりにしとしと。
きこえるのは
やさしいおと。
おやすみのひ、
おそとには
でられなくても
おままごとをして
あそぼうね。
お兄ちゃん、おかえりなさい!
おそとのあめは
どうでしたか?
こわくなかった?
なかなかった?
ひろげたかさは
とんでいかなかった?
そうでしょう!
だって
なつがもうおわったのだから。
おうちのなかは
どったんばったん
あそぶこや──
かさねぎを
ひっぱりだすこ。
みんなはきょうも
ころんで
ないて
わらってる──
やさしくきこえる
あめのなか。
さくらも、あったかくしなくっちゃ!