さくら

『さくら、どうしよう』
くすんくすん──
おそらが泣くと
さくらも泣いちゃう。
あんまりあついと
さくらはまた泣いちゃう。
お兄ちゃんは
ケーキがすきかしら?
さくらね、ケーキが
すきなんだけど──
むちゅうになってたべていたら
すぐになくなってしまうよ。
さくらちゃん、よくたべたね!
わんぱくだね!
のこったのは
おくちのはしについたクリーム。
ゆびでとって
ぺろりで
もうおわりなの──
どうしてすぐに
なくなっちゃうのかな?
おいしいのに──それだけがかなしい。
でも、もっともっと
このあついまいにちに
すぐなくなってしまうものがあるの。
しってる?
どんどんあつくて
たいへんなとき
アイスは──
みんながよろこぶ!
たべる!
とける!
なくなる……
なにものこらないおさらをまえに
あついひ、さくらは泣いている。
みぞれおねえちゃんは
ひとのいのちははかないものなのだ、
そうなのだ、
うちゅうはもっとはかないものだと
いうけれど
さくら、アイスのほうが
はかなくて
せつないとおもうよ。
うちゅうは──あんまりしらないけれど
たぶん
そうだよ?
さあ、あついなつ。
デザートのアイスをたべたら
お兄ちゃんとおふろにはいらなくっちゃ!
あせをながして
すっきりきれいになる
なつのおふろ──
さくら、だいすき!
なつのバスクリンもいいかおり。
でも、すぐにのぼせて
あんまりおふろであそべないさくらなの。
あせをかき、
いっしょうけんめいにからだをあらうので
お兄ちゃんと
やっぱりあそべない──
くすんくすん。
お兄ちゃん、さくらがのぼせないうちに
あひるをうかべて
はやく、はやく
あそぼ!
まなつのさくらが泣いている──
たのしいこと
もっともっと
あそびたいんだって!