さくら

『わたしのとくべつデイ』
さむさむいー!
お山のほうがゆうやけ色でそまって
つめたくていけないこがらしが
さくらをこまらせるじかんに、
おうちにかえります。
おうちには──
おねえちゃんがつくった
あったかいほかほかのおやつが
まっているし、
お兄ちゃんはよくかえってきたねって
わらってくれるの。
かぜをひかないか
しんぱいしているの。
さくらのおうちの
おはなし──
でも、よそのおうちでは
きょうだいがおおいところはあまりなくて、
おねえちゃんも
お兄ちゃんも──
いないところもあるんだって!
おうちそれぞれ。
かえったら
まいにちおまつりみたいな
おおさわぎでしょう、
どんなかんじ?
そうきかれても
さくらはかんがえて、
どんなかんじだろう──
ふつうだよ──
きっと、さくら、まだ
あんまりむずかしいこと
わからない!
ここが
さくらのおうち。
それだけ。
お兄ちゃんもそうでしょう?
そんなおはなしをしていると、
むかしはさくらのおうちにも
お兄ちゃんはいなかったね、
って
うららおねえちゃんがいうよ。
そうだっけ?
そういえば──
クリスマスにみんなで
お兄ちゃんのおくりものをかんがえるの、
まえはなかった
かもしれない──
でも、さくらのおうちに
お兄ちゃんがいないのが
ふつうだったなんてこと
ほんとうにあるのかな?
お兄ちゃんが
いなかったほうが
めずらしかったのか、
お兄ちゃんが
いるおうちが
とくべつなのか。
さくら、よくわからない──
クリスマスのおくりものは
まだひみつ。
ほんばんの
いちばんおたのしみの
その日になってから
みんなでおわたしするよ。
お兄ちゃんのせたけにあうといいけど──