綿雪

『私の一日』
今日は雨でした。
みんな、外で遊ぶのを
今日も楽しみにしていたのにね──
残念ですね。
ユキも体の調子が良ければ
散歩くらいはできるのに。
できないくらい暑い時もあるけど──
できるかもしれないの。
朝のうちは、まだくもり空で
むしむし暑くてみんな大変そうな顔をしていたけど、
でも、やっぱり
ぽつぽつ雨が降り出すと
あーあ、
雨かあ!
ふてくされたりもして。
いくら氷柱お姉ちゃんが
涼しく過ごせるからいいじゃないって
なぐさめてみたって、
なかなか簡単には納得できないですよね。
灰色の重たい雲、
窓を叩く雨粒の音。
海晴お姉ちゃんが言うには
台風がやって来るのだそうです。
暑い日もいいけれど、
せっかくの夏なんだから
雨が降る日だって知らなくっちゃ
もったいない!
とは
海晴お姉ちゃんの励まし方。
でも──
あんまり雨が降るのも困るねって
自分で続けるのも
海晴お姉ちゃんなんだけど。
ユキは──
ユキは、あんまり
みんなの気持ちになって
説得するというのは
得意じゃないので
仕方ないねって
小さい子と遊んであげるだけ。
物足りない顔を
している子がいても──
水たまりのお庭を眺める子がいても、
できることは
ユキの知っているご本を
読んであげることだけ。
あとは、そう──
一緒に手をつないで
お兄ちゃんなら雨の日でもすてきなことを
知っているかもしれないな、
お話をしてみようって歩いていくくらい。
だけどそれはもう
みんながお兄ちゃんを頼って
そうしたいので──
すっかり先を行く子のうしろをついていくばかり。
雨が上がったら
また暑くなるのがお天気というもの。
それまでは──
子供たちも
洗濯物が乾かないお姉ちゃんたちも
お兄ちゃんなら何かを知っているかもしれないって
歩いてゆくのです。