『大事なこと』
つづき!
世の中には、
もらってうれしい
プレゼントと
気持ちはありがたいけれど
どうしていいのか困るものが
存在するらしいの。
しかも、聞いた話によると
年を重ね
色んな人との出会いが増えるほど──
渡すもの。
もらうもの。
人は一生を通じて
贈り物に
困るとか──
私の年でも
似合わない服のおさがりは
よくあるというのに、
これ以上たいへんなことがあるなんて
私には耐えきれない──
もう私、大人になんてならない!
贈り物もあげない、もらわない!
今から決めた!
でも実は
困ったときの裏ワザというものが
ひそかに大人の間では
言い伝えられているそうなの──
特に家族が多いおうちは可能性あり。
自分では必要ないものを
誰かがもらってくれるかもしれないと
そんな望みが
意外と多い──
私にとって必要なものと
他の人が欲しがるものは
ずいぶん違うのだそうね。
世の中は
そういうものかしら?
今日も海晴姉さまは
小さい子供たちから
私たちくらいまで働かせ
きょうだいみんなに声をかけて作り上げた
どっさり大家族のてるてるぼうずを──
お天気棒に吊るしながら
テレビの向こうでがんばっているわ。
あんなのでももらって喜んで
仕事に持っていく人がいるんだ──
私、ときどき思うの。
もしも海晴姉さまが
やがて心変わりをしてしまった
その時のこと。
みんなから集めた
たくさんのてるてるぼうずを
しまいこんだ数は
途方もないはずよ。
鐘と太鼓を鳴らし
売り口上も高らかに
探して歩いたとしたら──
果たして広い世界に
あのかわらしいてるてるぼうずを欲しがる人が
いるのだろうか。
これまでの理屈では、
確かに間違いなく
存在するということになる──
今日も晴天を願い
それぞれの笑顔で
まめに働くぎゅうぎゅう大家族。
誰も欲しがらないのなら
せめて私のところにもらって
置けたらいいのかしら──
片付けは得意なほうだから
遠慮しなくていいって
言ってあげられるくらいはできそうよ。