真璃

『最先端プリンセス』
見回せば──
大人も子供も、
幼稚園児からお姉さんまで
涼しげな装い。
気が付いたら
取り残されそう!
いけないわ。
マリーともあろう者が
おしゃれの楽しみに
出遅れるなんて!
というわけで
日差しはさんさん、
太陽も輝く日。
帽子をかぶって
お庭に出る準備をしたら──
さあ!
しまっておいた夏服を
我が家の物干しざおで
ふかふかにするわよ!
この服を見ると
思い出すわね──
フェルゼンと重ねてゆく夏の日々のこと。
花火も遊んで──
海にも行った。
毎日あつまる
汗っかきたちが
かき氷を作るのだって
積み重ねた思い出。
マリーは──
愛する人と食べたレモンの味を
忘れない──
甘いイチゴもいいけど。
これからは
誰もが楽しく過ごす義務がある
ぎらぎらした時間が
やってきてしまうのね!
マリー、うかつにも
心の準備をまだしていないわ。
夏の予感に身を焦がして
胸の奥深くを早めに
ととのえておかなくっちゃあ──
流行に敏感な少女でさえ
あの季節を楽しみきれないわ!
マリーは今日も最先端ガール。
もうすぐ何かがやって来ることを
敏感に気が付き始めている──