『ぱらぱら雨のできごと』
朝からどんより
空を重く覆っていた
ねずみ色の雲は──
お昼過ぎにはついに雨を降らせて
下校時間の子供たちをもつかまえ
雨宿りさせ、
濡れさせ、
寒い思いをさせます。
お兄ちゃんは濡れなかった?
ユキは暖かくして
傘も持っていたからいいんだけど──
それはつまり
小さい妹たちのお世話をする
手数になると
いうことです!
お風呂場から、
キッチンから。
タオルを積み重ねた棚まで走っては
山盛り抱えて
よく拭くおしごとは
次から次へと
休む暇もない。
子供は逃げるし──
散らかすので──
つかまえて腕力に頼るか
知恵に頼るかです!
タオルはいろんな色と
柄があるので
どれがいいか聞きながら
考え込んで大人しくしている間に
どんどん拭いてしまう、
という手段があるの。
ここまでならユキにもできるの。
好きな色を
覚えておいて
また今度の雨の時に使ってあげられたら
なおすばらしい。
ユキにそこまで賢いことはまだムリかな──
もう大きいお兄ちゃんはしっかりしているから
あんまり必要ないかもしれないけれど、
ねえユキちゃん、
お兄ちゃんの好きな色を
聞いてみて
覚えてみたら
どうかしら?
ちなみにユキも
濡れないようにしているから
必要ないようにするけれど
好きな色は
水色──
家の中が大さわぎになる雨の日のような色。
使ったタオルをすっきり乾かす空の色。
もし濡れてしまっても
水色のタオルを選べたら
きっとご機嫌です。
いつか覚えていたら
素敵な色のタオルを
とっておいてね──
明日も落ち着かないお天気の予報。
傘を持って学校に行かなくちゃ!