真璃

『さみしがりの』
マリーと同じ名前のお姉さんが
涙を流して悲しそうにしている!
たくさんのお友達がいるマリーさんのところへ
マリーも走って行って
フェルゼンがいるわ!
大丈夫!
と、教えてあげたいわ。
でも、フェルゼンにもなんともできないわよね……
マリーならフェルゼンのことをなんでも知っているけど
卒業式を止めて欲しいとかそういうお願いはないし
大人になること、時が進むことは
悲しいことばかりではないと
みんなが知っているの。
それでも──
幼稚園が苦手なこわがりさくらも
マリーがいてあげて
いじめっこはマリーに言いなさい、
観月も頼りなさいって教えてあるけど──
そのうちマリーも立派なレディーに育ったら卒園をしちゃう。
観月もすぐふらっとどこかへ行っちゃうし。
小学校のお姉ちゃまたちは、小雨お姉ちゃまが小学校を卒業するときに
たくさんお世話になったお礼をサプライズで準備しましょうと
すぐ横のソファの影で小雨お姉ちゃまがのんびりしているのに気付かないで話し合って
あわてさせたりしているわ。
それを見ていたマリーもあわてたもの!
でも、やっぱり小雨お姉ちゃまがいなくなると
さみしいって言ってたり
いなくなった後の小学校も
何かあったとき、自分たちだけで何とかできるのかなあとか
小雨お姉ちゃまのことも心配して、中学生になってしっかりできるのかなあとか
まあ勝手なことばっかり言ってるわ。
はあ、それでも
小雨お姉ちゃまにとってははじめての卒業。
マリーにとってははじめての卒園。
不安になってしまうのも仕方ないわ!
お姉さんのほうのマリーさんたちは
大事な場所が消えてしまうのがはじめての経験だったりするのかな──
明るく過ごした日のさみしい顔。
これから一生懸命走りぬいたら
その時の表情は違うのかしら。
マリー、応援しちゃう!
そして──
きっと一生懸命、思いっきり駆け抜けるお姉さんたち
最後まで見ていたいと思う!
そうしたらぼんやり
さくらを心配しているマリーも
ちょっと変わるのかもしれないし
どきどきしながらくぎづけよ。
ああ──青春っていいわね!
一生懸命な人はいつもマリーの憧れなの。