『恒例行事』
年末になると毎年
大掃除があって──
それで、まあ
きれいになったさわやかな環境で
新年を迎えるわけ。
すがすがしい気持ちも悪くないわ。
ちょっとくらいの寒さをがまんしてでも
はたらく価値はある。
毎年そんな気分をうまく利用して
姉さまたちは手綱をつけたように私たちを使うの。
しかたないわね。
かなり年季が違うし。
すっきり掃除を済ませた後なら
多少はだまされてもかまわないような気がしてしまうし。
うーん、いや、やっぱりだまされるのはいやだけど。
大人になるまでは口ではかなわないから普通そうなるのよ。
今日あたりはまだ姉さまたちは別の用事もあって
押入れをよろしくねーの軽いノリで放っておかれたから
その場でたまたま年長だった私と
あとは吹雪ちゃんで見ていないと
すぐ遊びはじめる子ばっかり。
まだお正月には早いというのに
羽子板の取り合いをして
いちばんきれいな豪華なのと
二番目と三番目くらいまでは
予約で一杯になってしまったわ。
絶対そんな予約は
あとあと年の差の力関係で
簡単に反故にされると思うんだけど。
まあ、いいか。
すぐ次に出てきたこま回しの取り合いで
きれいさっぱり忘れてしまったに決まっているわ。
子供にとってはいくらでも広くて
ずーっと奥まで続いている部屋に
ぎっしり詰まったきらきらの遊び道具。
永遠に冒険をしていられそうな気がしてくる
がらくただらけの狭い押入れ。
たったこれだけの隙間も
寄り道ばっかりで進まないんだから
大掃除なんて簡単なものではないわ。
私たちの手に負えないような気分が
実際そうなのかどうかは
今年の分の答えを知るまで
まだせわしない年末に余裕はあるけれど。