真璃

『未来の夢』
運動会よ!
必ずマリーにも
活躍の場面がやってくる
あの運動会。
それはたくさん練習したダンス?
自慢のしなやかな駆け足?
みんなの先頭に立つ鼓笛隊の指揮かも!
フェルゼンも大変ね。
どんなときも見所ばっかりの恋人を持つと。
そのために朝からずっと盛り上がりすぎてしまうかもしれない。
うーん、ま、いいかな。
たまにしかない華やかなイベントだし
マリーもフェルゼンのかわいいところを見たくて
一緒になって興奮してしまいたいの。
どうせ、ふたりきりの世界は作れないんだから
ちょっと冷静になってたしなめるのは年上のお姉ちゃまたちにお任せで
子供は子供らしくはしゃいでもいいと思うわ。
いっぱい全力でいつも本気になるのが
本番を迎えたマリーたちのお仕事なの。
ただ、金メダルをたくさんもらって帰りたいのはあるんだけど
どうせなら最近ちょっと気になっていたこと──
ぜんぶが叶ったらいいな。
たとえば、まずは
いつもみんなを追い越して走るマリーの
すぐ横まで追いついて
腕を振り歯を食いしばり駆けるひとみちゃん。
実力には自信あり、ぜーったい本番は負けないんだからって
びりびり伝わってくるプレッシャー。
息を乱して肩を上下させるときに向けてくる
挑戦的でぎらぎらエネルギーがみなぎるような視線。
しょせん、運動会はお遊び。
ひとときの夢の瞬間。
それでも負けるのはやっぱり好きじゃない。
たとえ相手がどんなに強そうでも
一歩も引くわけにはいかないのよ!
あと、他にもあるのは
お気楽で勝ち負けとか気にしないらしい観月と
しっかり練習するさくらと三人で並んで
ずばずばかっこよく他の子たちをごぼう抜きに追い抜き
マリーの家族たちはここよ! って感じで
運動会の会場を盛り上げ、華麗に彩るという夢も──
え? 無理そうですって?
それは、ええ、そうね!
というかそもそも三人そろって走る競技って別にないもんね。
でもいいの。
こんなふうにばしばしお尻を叩いていたら
さくらは怖がってしまうかもしれないけど
まだ子供だもん。
後でフォローはするとして
言いたいことをまず言うの!
フェルゼンもマリーたちが並んで走るところを見たいわよね?
もしもあんまりさくらが泣いてしまったら
すねて運動会に行かないなんて言い出す前に慰めないとね!
できれば一緒に立派な金メダルを
おそろいでもらいたいなあ。