吹雪

『春の装い』
押し入れから続々と
運び込まれる春服が
タンスへ向かう中途に
試着の場へ運ばれる──
虫がついていないか
かびくさくないか
確かめるだけだった手順は
やがて──
服の貸し借り、
組み合わせの試行錯誤、
そしてサイズの確認と
作業量が増えていったそうです。
私は埃が苦手なので
離れていましたが、
遠くから聞こえてきた
にぎやかな声、
それに混じる悲鳴──
冬の間に油断した分、
そろそろ体型を引き締めていきたくなる季節。
何より、暖かくなって
新しいことを始めるには向いていると聞きます。
無理をしすぎないように気を付ければ
健康に気を遣うのは良いことです。
体はこれからも長く使うもので
たとえば機械に付け替えて生命維持をする時代も
まだ遠くやってこないようですから。
体を機械に取り替える時代──
夕凪姉は頭脳に計算器を取り付ければ
算数の成績が良くなりそうだと言いますが
脳は複雑で簡単に仕組みが解明できるとは
思えないので
おそらく機械化も他の部分と比べて遅れることでしょう。
いや、夕凪姉が必要だと考えているならば
努力によって研究は進むかもしれない。
今まさに季節は
新しいことを始めるのにふさわしい春。
一学年だけ進級した夕凪姉が
ついに脳科学の歴史を変えていくことも
ありえなくはない──
私自身は体型や学習量について
今のところはそれほど改善を迫られてはいないと思います。
それでも何か
みんながうらやましくなって──
つい新しいことに手を出すことも
あるのかもしれません。
過ごしやすく
暖かい日に私は──
まだ朝晩の冷え込みは厳しいようです。
キミも体調にはどうか気を付けてください。