『くもり』
ここのところお天気は
すっきりしない花曇り。
あんまり暖かくなくて
せっかくの春休みなのに
これはまさに
くまったね!
あ、いまのはねぇ
くもり、っていうのと
困ったね、をかけたのと
あと冬眠から目を覚ましたクマが
山から降りてくるってニュースがたまにあるらしいから。
かわいいむくむくだが
本当は怖いクマ。
人の住む里に降りてくるのも
自然を切り開いて開発した影響だから
人間はまだ大自然に立ち向かえるほど賢くはないのである。
うちの裏山も
何が隠れているかわからないぞ!
花が咲いて出てくるのは
おけらやみみずの
一緒に春を喜ぶ友達ばかりとは限らない。
妖怪が降りてくるなら
やっぱり和風だと思うの。
しかもかわいく着飾っている
華やかな景色の季節にふさわしく
まもなく新芽が吹きはじめる
ちいちゃい子!
夕凪の胸の
このくらい
か、
もうちょっと思い切って
春が来たことだし背丈をサービス、
ここ
夕凪の目元くらい。
髪型もおしゃれして
花のかんざしをさして
結んでもいいかもしれない。
くもりに乗じて
腕を伸ばした木々の影を渡り
内気に恥ずかしがって隠れながら
花のいい匂いのする新しい景色を探しに
人里へ──
だって夕凪が妖怪に生まれていたらそうする。
人間が怖くても降りてきてしまうよ。
春ってそういうものだから。
ところで最近は
縫い物にお菓子つくりに
立夏ちゃんと夕凪が
たまにおしとやか。
そのために氷柱お姉ちゃんは
気味悪がって
熱でもあるの!?
みたいなことを言う。
あらま!
宇宙人が化けているのかしら、
みたいなことまで。
実際は
くもりだからお外に出るほどでもないなー
というだけなのに
氷柱お姉ちゃんったら
おっかしい!
夕凪が女の子らしくって
落ち着いて知的なだけ
だよ。
なにかへん?
それとも実は
謎を解き明かしたのは氷柱お姉ちゃんで
あの薄く広がる雲を用意して潜んで
本物の夕凪を閉じ込めた宇宙船が
入れ替わった夕凪に指令を送り
探索計画を進行中!
なんてことがあっても
いろいろ新しいことがある春だし
うーん
やっぱりないか。
そこはやっぱり新しいはじまり
新年度と共にやって来る転校生が宇宙人ってことで
どうかな!
なかよくしよっ!
ふあんと緊張、
それでもやっぱり期待の季節。
新しい教室で
新しい教科書を手に取り
いろんなお友達を作るの。
何が起こっても驚かない心の準備を
今のうちからしておかなくては!
おいていかれるぞー。