氷柱

『夢を見た』
空に輝く星の数よりも──
そんな例えもあるけれど
またなのよ!
おいしいケーキを
おみやげにもらったくらいで
すぐ将来は
ケーキ屋さんになると言い出す子が
あらわれるのは!
家を探せば
たくさんお菓子の作り方の本、
お菓子屋さんの毎日を取材した
とってもためになる本が
何冊もあるはずなの。
なにしろ
私が──
本屋さんに妹を連れて行っては
一緒になって探した本だもの。
もう行きつけの店で
うわさになっているに違いないわ。
天使さんのおうちには
将来いったい何人の
ケーキ屋さんがお店を開くことだろう!
もう家族はケーキに困ることが
ないはずだって──
もちろん子供たちは
自分で作ってみて
現実に触れ、
その予想もしていなかった面倒くささに
やがては──
飽きていくのよ。
もしかしたら、例外はあるのかもしれない。
春風姉様や蛍姉様みたいに
我が家の台所を受け継ぐ子が
もう才能の輝きをきらめかせているのかもしれない──!
残念ながら姉様たちの
才能が開花する瞬間には
立ち会ったことがないから
実際どうなるものなのか知らないけど。
私が一緒に探してあげる本がいけないのかな?
いやまさか──
でも実際──
いやいや──
そうだ!
あの時やその時と違って
私たちのおうちには
みんなが頼りにしているお兄ちゃんが
その大きな体を持て余して
暇そうにしているじゃない!
きっとこういうときに
知恵を働かせるようにできているのね──
じゃあ決まり!
週末の予定は空けておいてね。
この家も、一人くらいは──
子供のころの夢をかなえる子が
そろそろ出現する気がしているの。