綿雪

『連休の過ごし方』
いつでもお姉ちゃんたちは
ユキに新しいことを教えてくれるの。
今日飛び込んできた情報は
夕凪お姉ちゃんが走り回って見つけた
隠れ家のような雑貨屋さんのお話と
空色をして統一感のある
さわやかな季節にぴったりの
アクセサリーの特設コーナー。
欲しい物を探すときにする
おこづかいのやりくりの努力、
それから他にもたくさん集まる
自分だけが知っている特別なお店のことや
お財布の中身が寂しいときの
お手伝いの情報交換など。
といっても、おうちアルバイトでは
そんなに大きなお金はもらえないので
おやつを買うかわりに自分の好きなお菓子を作るのを手伝い
貯金しておくなどの
くふうをするほかは──
将来役に立つ花嫁修業と思って
いつかおうちのことを誰にも頼らず
なんでもできる大人になった日、
欲しかったものを手にする瞬間を夢見て
今はお手伝いの報酬で満足するのです。
だからこんなによく晴れた
すてきな青空の下では
子供たちは廊下の雑巾がけで朝の始まりを迎え
洗濯物を干そうと重たい洗濯籠をものともせずに駆け回り
じゃがいもの皮むきに真剣な目を向け
お昼寝をして
おいかけっこをして──
こんなにいいお天気の日は過ぎていきます。
ユキは小さな妹たちをひざに乗せて
本を読んであげることくらいしかできないから
空色のアクセサリーもまだまだ先の
遠い日の夢でしかないのだけど
お姉ちゃんたちがしてくれているように
ユキも誰かに新しいことを教えてあげられたらそれだけで
ゆっくり時間の流れる休日は
かけがえのない日になるような気がするのに
やっぱり──
かなうのはいつかの遠い夢なのでしょうか?
今日は子供たちのほつれた袖をきれいにする
縫い物を教えてもらったよ。
アルバイトではないけれど
将来は縫い子さんになるのもいいかもしれないと思いました。
お兄ちゃんも連休でばたばたおうちの用事をして
服がほつれることがあったら
お休みをするついでに
ユキのところに尋ねてきてください。
みんなの力になりたいと願う子の──
夢を叶えさせてね。