夕凪

『発見』
むむっ!
あれは!
キッチンのど真ん中に
これみよがしと置かれているのは、
あれはまさしく
お砂糖の袋じゃないかなあ!
いくら夕凪でも──
お砂糖と塩を間違えるなんて
ゆかいな漫画の登場人物じゃあ
ないんだし。
えへへ、じゃあやっぱり
きのうまでのお祭りみたいな
チョコレートの毎日に
一区切りで、
今日はお砂糖でケーキを作ってくれたりするのかな。
なにしろ土曜日。
特別なおやつが出てもおかしくはない、と
そう言って──
夕凪の未来予測が
水晶玉に移るみたいに
きらきらとまぶしく
告げている。
でも夕凪も
そこそこお料理を学び
したっぱシェフに育ちつつあるところなの。
ひょっとして
あのたくさんのお砂糖の使い道は
お菓子ばかりではなく──
意外としっかり甘みを付けるための
煮物だったり
するのかな?
ほくほく甘いカボチャの味付けに
欠かせないお砂糖。
夕凪は、あれだけチョコを食べて
まだ胃袋の限界に
挑戦する気なのかと
氷柱お姉ちゃんからおそれられるほど
毎日のおやつを食べる時は真剣でありたいというのに
お砂糖の使い道一つで
こんなにも運命が分かれる予感がある──
はっ!
そうだ、
未来は帰られるかもしれない、
運命は自分たちでつかむものだよね。
ホタお姉ちゃーん!
夕凪、挑戦したいお料理があるんだけどいいかなあ?
チョコ作りの毎日で──
もしかしたら才能が目覚めちゃったかもしれない気がするんだよね!