吹雪

『オカルト』
科学がどれだけまぶしく
光を照らそうとも
すべての謎を解明するには至らない──
アシモフは知識を広大な森の探索に例えて
知るほどに更なる旅を続けるといったようなことを──
あれはどこで言っていたのだったか──
その時、果てしない旅の先についても
言及があったのかも記憶にないのですが。
私の周りにも、科学で説明のできないことが多い。
ふたたびアシモフの話をすると
一部の理論を取り上げ、あるいは無視することを私に許すなら
世界のすべての謎を説明してみせると言った。
この家族の不思議を
解きほぐすのに、
私は必要なデータのすべてを確かにそろえているのか
まだわからない──
きのうは星花姉が
友達と遊ぶので少し帰りが遅くなりました。
塾通いや習い事も増える年頃で
人に心配をかけるのは良くないけれど
ある程度は仕方ないと──
かつて同じ学年を経験した姉たちは
そこまで厳しいことを言わない──
さて、今日はたまたま
私が図書室で借りていた本の
返却日だったので
少し帰りが遅くなりました。
小学校の図書室は
人気のある本がいつも奪い合いになる。
まんが世界の歴史や
偉人の伝記──
テレビアニメにもなったお話の子供向けの書籍など
私たちはいつも何かひとつふたつ
狙いを付けている──
姉たちにも覚えがあるそうです。
だから厳しくはない──
ちなみにおとといは
立夏姉が迷子になって遅れ、
思い出すとその前の日は
小雨姉が委員会活動で暗くなりかけてからの帰宅ではなかったか──
こんなに誰かが遅くなることが続き
まるで法則性のようであり──
もしかしたら明日には暗がりの中を帰ってくるのは
夕凪姉の番では──
と自分から言い出し、ぶるぶる震えています。
土曜日の夕方であれば、小学生の行く先はせいぜい公園か友達の家。
おまけに明日の晩御飯はみんなが好きなカレーライスだと
蛍姉も今から材料を確認して頷いていたので、
まず考えられない事態です。
偶然か必然か、
この特殊な状態を完成させる条件は
明日も発生するのか。
私には予想はできない。
ただ──全ての知識をいまだ持ちえぬ人の身では
想像すらもできないことが
確かにこの世にあるというのは確かであるようです。
夕凪姉がカレーの時間に遅れるなどという事件を
キミはこれまでに見たことがあるでしょうか?