星花

『ある日の帰り道』
やっぱり、やっぱり──
暗くなるのが早い
最近の帰り道は
怖くて
さみしくて
心細い!
お友達といて
とんではねて
無敵だったさっきまでの自分が
しゅーんと
しぼんでいく──
今日は、お兄ちゃんも
早く帰るって言ってくれた日。
用事があっても
なるべく早く、
できれば早く──
だって妹たちが待っているからって
ヒカルお姉ちゃんと顔を見合わせていたけど
みんなはそれは
とってもいいって
喜んでいたみたい。
夕凪ちゃんは放課後になると
広い校庭も飛び越えるみたいに
走っていったという。
吹雪ちゃんも、図書室によらないで
忘れ物がないか確認して
ぐっと背筋を伸ばして
歩いて行ったという。
星花はその時、
お友達と遊ぶのが楽しくて
残っていたんだけど──
だってみんなが早く帰ってくるようにって言われている
深まる秋も──そろそろ冬に変わろうとする頃。
誰にも用事がなくて
仲がいい子といられたら
時間を忘れてしまうんだもの。
だから、暗くなりかけた帰り道も
一緒に家に帰る人はいないし
お兄ちゃんはお迎えに来ない。
少し寂しい帰り道が
夕暮れの早いせいでいつもより少し早足になることも
たまにはあるんだもの。
さみしいのをこらえて道を行けば
たどり着くのは大さわぎのわがや。
お兄ちゃん──
こんなに寒くて縮こまりそうだというのに
星花はまだまだ
遊び足りません。
帰ってお手伝いをして
少し落ち着いたら
夕凪ちゃんたちと何をして遊んだか
聞かせてもらってもいいですか!
星花はまだ──いろんなことを話し足りないところなんです。