観月

ゆうやけこやけ
なぜじゃ!?
まだあんまり遊んだ気がしないのに
お外はすっかり夕暮れ、
ついに帰る時間。
泣いてもすがっても
駆け回り転がり回り遊ぶ時間はこれまでじゃ。
おうちに入って
お手伝い、
そしたらお絵描きをしようと
ユキ姉じゃが招くので
姉じゃの言うことならしかたがない。
今日はこれまで。
ボールも縄跳びも片付けて
明かりのついた家の中へ──
ユキ姉じゃがお絵描きをして見せてくれたのは
好きなおもちゃがいっぱいで
いつまで遊んでいても
日が暮れないままずっといられる
どこかのお庭──と、
そこに通じるきれいなドア。
このドアを通り抜けるだけで
そうしたらもう、
いつまでも飽きるまで遊んでいいのだから
だから、いつかそれが見つかるまでは我慢──
そこは何をしても楽しくて
いつだって兄じゃが一緒に遊んでくれるお庭。
しかし、ふと思ったが
そんなに楽しいお庭は
もうわがやの玄関を開けた
すぐそこ──
絵に描いたような
いつ出て行っても夢中になるところ。
わらわはずっと
誰かのお絵描き帳にあるお庭で遊び続けて
ユキ姉じゃか誰かがそれを見ているのかもしれない──
そういうこともありそうな気がしてきた。
兄じゃも同じお庭で遊んでいたであろう?
振り返ると肩越しに
お絵描き帳の向こうで絵の得意な誰かが
見ているということだって──
あったら面白いと思わぬか?
明日もみんなで飛び出していくお庭。
兄じゃも寄り道しないで早く帰って来なければ
すぐ真っ暗になって一緒に遊べぬぞ。
ちゃんと気を付けるのだぞ──わかったな。