『今年も思い残すことなく』
むにゃむにゃ──
あわただしかった年末も
残る時間はあと少し。
いろいろあった毎日を思いながら──
どうにか一年の用事も
一区切りというところまでやってきました。
休憩時間に、氷柱ちゃんに相談に乗ってもらったのが
よかったみたいで
計画を立てて効率よく進めることにかけては
頭のいい氷柱ちゃんにかなう人はなかなかいない──
その手にかかれば
大掃除と新年の準備を迎えた忙しさまでも
快刀乱麻を断つがごとく。
ほっとひといき、
気が抜けてしまったところです。
ふにゃ──
もしもわがやに
氷柱ちゃんがあと五人くらいいたら
毎日の出来事は流れるように進み
天使家はついに大きな会社くらいに育ち
ママの芸能事務所も越えて行き──
少しは楽をさせてあげられるようになるのかなとも
一瞬思ったんだけど、
氷柱ちゃんは五人もいないし
偏食の氷柱ちゃんが多いと献立も大変だし
栄養のあるものをいっぱい食べてほしいし──
何より蛍がたまにこうして気が抜けて
氷柱ちゃんから変わって請け負った休憩所の主人の役目を
果たせるかどうかもあやしいんだもの。
今日はいい香りの、
ことしの残り物の中から厳選した──
余ったにしてはなかなかのお茶がはいりました。
ここは落ち着いて過ごせる
気を使うこともなにもない穏やかな場所。
なにしろ主人が一番くつろいでいるのだから間違いない──
蛍が何人いたところで
世界一の会社を作るのは難しそうですが
一年をどうにかこうにか
家族と一緒に乗り越えていくには
なんとかなるらしい──
お兄ちゃん、今年も一年お疲れさまでした。
蛍もたくさん助けてもらって
困らせたことも多かったと思います──
きっと来年も、そんなに急に成長したり
あまり華やかな未来が見えないけど──
でも、来年もできればまた
こうして──ゆっくり過ごす時間ができたら
きっと蛍はそれが一番うれしい。
みんなと、また──
お兄ちゃんともこれからも一緒に。
そうだったら本当にいいな。
お兄ちゃん、来年も甘えん坊の小さな妹の
蛍のことをどうかよろしくお願いします。
のんびりしたいときは、いつでも会いに来てね。
かわいい氷柱ちゃんに食べてほしいものを考えていたり
一休みのあくびをしているところを──また目撃できるはずです。
見なかったふりで、二人だけの内緒にしてくださいね。