『年の瀬』
クリスマスが終わると思ったら
もうすぐお正月。
年末は子供にとって楽しいことばかり。
ちょっぴり大掃除は忙しいけれど、
わくわくする日は続く。
寒さに震えている暇もないのじゃ。
なにしろお正月は
華やかなことばかり。
お年玉もあるし
おもちも食べたい。
初詣やおでかけも多くて
大人になっても初売りなどが楽しいそうな。
みんなの冬休みが終わるまでに
今年と──それから来年のはじまりに
いっぱい兄じゃやみんなと思い出を作るぞ。
去年の暮れも
何かと年末の忙しさに追われ、ばたばたしながらも
みんな元気に
おそばを食べて
良い年を迎える支度をして──
そうしてみんなで楽しみにしていた年がもう暮れる。
いろいろあったが
ともあれ兄じゃと一緒に年の瀬を迎えられそうじゃ。
長生きや縁起を祈るおせちも
来年の分はもうすぐ支度ができる。
わらわも箱詰めをお手伝いするからの。
何段重ねのお重になるか──
子供たちのお手伝いが上手になっていくと
毎年どんどん
おせちも積みあがって
福が舞い込んできそうじゃな。
今年も一年、長いようで短かったの。
もっと兄じゃといっぱい一緒に遊びたかったとも思うぞ──
そして来年も、
またその先も
みんなでお正月には
にぎやかに過ごしたいものじゃ。
その先──
いつかこれから遠い先のお正月は
どんなふうになっているのか、
その時もおもちやおせちは食べているのか
まだ未来を見通す力を持たぬ人間では
見たことのない世界の話だが
それでも今わかっていることは
何年先も──わらわは兄じゃといるであろうということじゃ。
そのうち千年、万年も先のお正月ともなれば
キュウビもずいぶん大きくなって
国のひとつくらいは傾ける美人になっておるかの。
そのころには──わらわも兄じゃの驚くようなすてきな妹じゃ。
おせちに願いをかけるのだから間違いない──
ずっと長生きして
ずっと兄じゃと一緒で──
まだ遊び足りないなんて言っておるであろうか。
兄じゃ、どうか来年も
この小さな観月のことをよろしくお頼み申すぞ。
まだまだ甘えん坊が抜けぬ子なのじゃ──