観月

『悠久』
男の子と女の子は
やがて結ばれ、
あるいはまた──
鬼を退治しようと思い立ち
正義をなす者、
自らの力を試す
挑戦の旅に出る者は
ひとつの例外もなくみな全て
長い旅で
同じ目的の
仲間と出会い
助け合って──
やがてつとめを果たすのじゃ。
むかしむかしからの
言い伝えの通り、
人の世にあるものがいつも同じであるように
おはなしの形は
何も変わらぬ。
決まり切っている。
だが、実は
お話の後には
続きがあるのだと──
それを知るのは
もう少し大人になってからのことじゃな。
たとえば、
本当の家族に会うまで
人をずいぶん待たせて
時間がかかった兄じゃは、
それからずっと
兄じゃを愛する家族に囲まれて
幸せに過ごし、
ずっと離してもらえない。
これから何があっても
ずっと、いつまでも。
そういえば、男の子と女の子の
おはなしは
この世では思いを果たせずとも──
と、そんなこともあるかもしれぬ。
まあ、長い目で見れば
常世も現世もそんなに変わらぬであろう。
どこにいても
いつまでたっても
わらわと兄じゃは家族のままということじゃ。
仲のいい二十人きょうだいのおはなし──
家族が出会って幸せになったおはなし。
氷柱姉じゃはご本の続きを図書館で借りて
夕凪姉じゃに届け、
面白そうに様子を見に来たあさひやユキ姉じゃたちも参加して
長い物語を前に
今日も仲よく埋もれておる。
ずっと先の──
語られることなく
誰も見たことのないかもしれない、
家族のおはなしの続きは、
うーむ、わらわにもまだはっきり見えて来ない。
いずれ出会う運命のその時まで
誰にも予想ができぬかもしれぬ──
それもよい──
楽しみにして日々を送るとしよう。