吹雪

『スタートライン』
春の天気は不安定で、
寒い日と暖かい日が
交互に繰り返すと言います。
暖かい日はいいものの、
私たちは子供なので寒い日が来ると
家族で助け合うしか
乗り越える方法がないようです。
助け合いを意識する家族が多いと
観察されることは、
とても大事で、うれしいことだと考えています。
ただ、別に自分自身でうれしさを認識した時であっても
観月のように踊ったりはしません──
言葉で伝える方法で今のところは間に合っています。
昨日までは寒さが戻ってきたように
冷たい雨が続き、
私は体調に問題ないのですが
小さな子供たちは温まりたくて
抱っこしてくれる人を探しては
一斉に集まっていくのを
繰り返していました。
氷柱姉が重みに耐えきれずに寝転がる横を
狙われないうちに霙姉が逃げていく──
自分のところには来ないと油断して
ソファでのんびりそれを眺めていた麗姉は
次のターゲットになることも知らず──
といった家の中の様子を
部屋の端っこから見ていました。
私がソファにいなかったのは
床に積んだ本を取りやすい姿勢を模索していたのと
大きな図鑑を広げる都合です──
それに、本が並んでいれば
激しい足音が近づいてきても
気を付けてと一言声をかければ
勢いを止めることができる。
部屋の隅はもう2、3人が過ごせる程度の隙間はあります。
大変そうだった氷柱姉や小雨姉と、
そしてキミを誘うのもいいかもしれません。
でも──
逃げる人ばかりかと思っていたら
海晴姉は子供たちの中に飛び込んで
一緒に踊っていました。
休憩できると誘うのも──そこまで気を使わなくてよい可能性もあるのでしょう。
それに寒い日を家族で乗り越えて
この先は暖かくなるはずなのだから──
隠れ家のような場所もいらなくなり、
気ままに好きな本を抱えて
家の中に過ごしやすい場所を探すこともできるでしょう。
ゆっくり考える時間もあるはずです。
海晴姉はみんなに合わせて踊りだしたのか、
それとも言葉で伝えるには困難な種類の喜びを
表現しようとしたのか──
必要な情報を集めるための
観察がはかどりそうな季節は
まだこれからがはじまりなのだろう──と思います。