海晴

『待ち望むのは』
今日もまだ寒いわね!
みんなが待ってる本格的な春の到来は
やっぱりまだ少し先のことになりそうね。
そう遠くではないところまで
迫っている感じはするんだけど──
もどかしいくらいにすぐ近くなんだけど!
なんて言うと
まるで好きな人と会える日を期待しているみたい。
一番好きだと言える人が
もう、すぐ隣にいるというのにね。
でも、その人と一緒に
巡る季節の
次の春を迎えられるのは
なんだかうれしい感じ。
ゆっくりだけど
近づくその日を楽しみに──
どこの景色を見に行こうか、
どんなお弁当を持って行こうか
考えるのも
この時期の楽しみのひとつだったのは
確かなんだけど
今年は状況が違うのも
仕方がないわよね──
毎年、大変な勉強をして
調べてまわり
大きな期待を肩に背負い
外れたらいけないと思う
春限定の大切なお仕事も
今年は需要がない状態。
さみしいけど守らないといけないのは
自分の体と愛する人
変わりない笑顔──
だから久しぶりに桜のことを考えてばかりいなくてもいい
珍しい春の手前。
未熟なお天気お姉さんとしては
毎日の忙しさも
ずいぶん楽になった
はずなのに──
なぜか落ち着かない、
そわそわした気分は
これがライバルを失った
スポーツ漫画の主人公の気持ちだとでも
いうのかしら──
ま、のんびりする時間はあるんだし
何か面白いことも
これから見つかるでしょ。
一緒に探してくれる運命の人もいるんだし──
どんなふうに素敵な季節を過ごすのか
イデアをたくさんもらわなくっちゃ
暇を持て余したお天気お姉さんは
時候のあいさつで使えそうな話題を求め、
手を伸ばしているのだそうよ。