ヒカル

『ノーマーク』
油断して、
気が付かなかったせいで
ついうっかり。
私としたことが
大事にしていた靴の
痛んでいることに気が付かなかったなんて──
そんなこともあるんだな。
体を動かさないでは
一秒だっていられないと
大げさなことを言われてからかわれるのもよくあるけど
それは大きく間違っているわけではなく──
だからいつも様子を見て
調子を確認しなければならないものなのに。
これで走りに出ていたら
どこかでつまづいていたかもしれないんだから
改めて見直す気になってよかった。
というのも、
いつも自分の手足のように
キッチン用品を大事にしている蛍が
なんと!
包丁を研いでおくのを忘れて
みんながおやつをねだりに来た時に
これでは、
いちごがかわいくケーキの上に飾れない!
叫んでいたから。
蛍でもそういうことはあるんだな。
硬い骨の魚と格闘し、
なんとかおいしい一品ができて
みんなに喜んでもらえたおかげで──
うれしさのあまり大事な手入れを忘れていたという。
そのあと長い待ち時間のあと
みんながいい子にしていたごほうびの
いちごの盛り付けがきれいなケーキを見ながら
もしかして自分も
忘れていることがないか?
うれしすぎてつい手入れがおろそかになっているようなこと──
当たり前と思いながら見逃してしまうようなこと!
と、考えて
思いついたのがよかったんだ。
あんまり暖かくて
近づく春の気配に──
そんなにうれしくなっていたのだろうか?
それともみんなが体を動かしたいって
一緒に走ってくれるからなのかな。
お前も忘れていることがないか確かめてみたらいい。
冬の間に運動能力がさびついてしまっていないか、
ゆっくりオイルを差し込む手順が
必要かどうか──
一度動いてみないとわからないよ!
困っていたらいつでも相談に乗るからな。
というか──
せっかく暖かい陽気なんだから
なんでも相談を聞きたくて
うずうずしているんだ。
一緒にはじめられることがあるといいな──