『おつかれ?』
びっくりしても
びっくりしても
それでもまだまだ
めずらしい
どうぶつ
どうぶつ
またどうぶつ。
動物って
本当にいろいろ。
とぶもの
およぐもの
おどるみたいにしている子
なかなかうごかない子
あんなに種類があるものなんですね!
ふえー……
蛍もそれは
動物園たのしー
ちょーさいこー!
ってはしゃぐことにかけては
中学生の女子だもの
そんじょそこらの一般人には負けないつもりだけど!
それでも最後には
ユキちゃんやあーちゃんたち
そろそろ眠たそうにまぶたが重い子たちとゆっくり
休憩できるお店でお休み。
迷ったら
パンダのお店だよ!
合言葉に決めて。
もっともっと元気に動物を見て回るチームには
お兄ちゃんもヒカルちゃんもいたから
離れてしまった蛍は少し寂しくもあったけど
大丈夫。
ちょっと疲れたときには
甘いものが特効薬なのだし。
パンダちゃんソフトにはちょうどいいお天気。
少し風が出てきて、心細くなってきた頃には
パンダのお店!
大きな声で星花ちゃんと夕凪ちゃんが、
お兄ちゃんの手を持って連れてきてくれたのだし。
今日は一日、パンダに助けられた蛍です。
民話になりそう?
蛍がパンダによいことをして
恩返し──
あんまり興奮して騒ぐと
パンダさんもびっくりしてしまうよって、立夏ちゃんを落ち着かせたのがよかった?
本当は、知っています。
小さい子が一生懸命に、楽しそうにはしゃいでいるとき。
一緒に隣で大喜びして
みんなのことを見回して
楽しんでくれているように
はぐれたりしないように
自分がこんなに楽しいって伝えたいみたいに
私たちのほうをきょろきょろしてた。
一番落ち着かないのはあの人なんじゃないの?
って、麗ちゃんがあきれていたけど
そんな大人びたことを言う麗ちゃんだって、
家族の誰もこんなに楽しいおでかけで
迷子になったらいけないから、
お目当ての動物が見つからなかったらいけないって言うみたいに
みんなの様子をきょろきょろ気にして
小さいお兄ちゃんみたいだったもの。
帰り道に、電車の中でおみやげをかばんから出したい子たちを抑えて
家に着くまで!
そうがんばっていた一番の功労者は麗ちゃん。
すぐそばに
同じ気持ちの人がいて
見せていたからだと思うよ。
こうすればいいよ、
気持ちを込めていればいいんだよ、
ずっとうれしそうに
言葉にしなくても、教えてくれていた人。
こんなにはしゃいで
元気いっぱいで
しっちゃかめっちゃか、収拾がつかなくなりそうな
燃えるハートの女の子たちを
ちゃんと守ってくれていたのは
みんなが頼りにしている男の子。
お兄ちゃんだったんだね。
ホタ、
恩返しに行かないと!
お兄ちゃんが優しいので
蛍が夜中に
はたを織りに向かいます。
見ていてもいいよ?
ちょっと恥ずかしいけど
お兄ちゃんなんだし。
それにしても
しいたけ、くろまめ、えんどうのパンダ弁当を
みんなが苦手にする様子もなく!
ぺろりとたいらげてしまったのは
本当に人気者なんだって
パンダがうらやましかったなあ……
蛍の正体が実はパンダだったら
いつものごはんも
もっとみんなにおいしく食べてもらえる?
大きくなったら
あのかわいいかわいい
すっごいふわふわの
パンダになる!
と、立夏ちゃんみたいなことを
蛍も言ってみる日になりました。
立夏ちゃんの話はちょっと違うかな?
どうして動物園に
人間もいたらいいのにねー?
いるとしたら
やっぱりかわいいリカみたいな子かな?
いやーん
いつも見てもらわなきゃいけないなんて
気合が入っちゃう!
パンダより人気者になるよ
ねー
……
お兄ちゃんに同意を求めていたね?
ホタパンダと
どっちが人気者になるでしょうか?
お兄ちゃんの違憲を聞きたいところです。
動物園はどうだった?
お気に入りは
夕凪ちゃんと同じになったでしょうか。
結局、動物園で
蛍が一番うれしかったのは
家族みんながよろこんでくれたこと。
お兄ちゃんのいろんな顔をたくさん見たこと。
残念だったのは意外にも
時間が足りなくて、見たかった動物が見れなかったことじゃなくて
念のために持っていった分のおにぎりも
結局、笹の葉に包まれたかわいいパンダにかなわず持ち帰ることになったので
おうちで雑炊にしてお夜食にふるまうことにしたものの
もう疲れたみんなは早めに休んで
春休みの最後の日々に備えて体力の回復に努めているので
みんなのお役に立ちたい蛍だけが
一人ぽつんと
さみしくやけ食いをする夜になってしまったこと。
今日は少し
夕方から冷えたから
ちょっと寒かったかな?
もし、そんなことを感じるお兄ちゃんがいたなら
今からでも
蛍はお役に立ちたくて
恩返しをしたくて仕方がないので
もう少し、
今日の思い出話をしませんかっておねだりしたら
しかたない妹だなって笑って
聞いてくれる?