氷柱

『夕焼けの待ち合わせ』
寒さはいつもと変わらないけれど
だんだん日が長くなっていくと
みんなで身を寄せ合って待っている春が
少しでも近づいているのかなと
そう思うときもある。
でも明るい時間が増えるのは
いいことばっかりでもないのよね!
なにしろ子供たちが
帰ってくるのが遅くなる。
心配して待っていても
こっちの気持ちなんて知りもしないし
晩ごはんのカレーにお好み焼きの名前を出して呼んでも
遠くまで行ってると匂いも届かなくて、なかなかね。
晴れていても夕方になるとやっぱり冷たくこごえる風が
きびしく肌を刺す。
とっとと中に入りなさい!
暖房だってついてるから!
なんて呼んだところで
素直に言うことを聞く小さい子なんて
見たことある?
たぶん私が子供の頃は素直でいい子だったんだろうけど。
というわけでしかたなく
言うことを聞かない子の背後から近づいて
いつまでも外にいると
風邪やインフルエンザのウイルスが
寒さで弱った体に攻めてくるぞ!
こんなふうにね!
って、つかまえてくすぐって
ぐるぐるまわしてひっぱっていくしか
できることはないのよね。
脅してびっくりさせて
子供たちが怖がってしまうけどしかたないのよ。
なんて言い方をすると
霙姉様がいたずらをするときの言い訳みたいね……
別に私は遊んでいるわけではなくて
真面目にみんなが早く帰ってくるように考えているだけだからね!
下僕もあんまり帰りが遅いと
風邪を引くより先に家族に見つかって
後ろからつかまるから
この時期は注意しなさい。
いつも健康でしっかりしていないと
ただ遊びたがっている子が心配するふりをして襲ってきても
簡単には逃げ切れないわ。